MJG2011 展示 連動企画 CD JACKET DESIGN in JAPAN special long interview

音楽では派手なことをやってるのにジャケットが地味だとがっかりする

-- ヒットしている曲でも聴いたことがない、ジャケットを見たことがないという状況が現れてきている中で、音楽はどうなっていけばいいと思いますか?

 個人的にはアメリカみたいに、アナログ盤にダウンロードIDがついている形のレコードが増えると一番嬉しいですけど。理想的です。最近はアナログ盤ばかり買ってますし。

-- では、CDというパッケージすらなくなるんじゃないかとも囁かれています。もし「12ヶ月連続でシングルを配信するから、アイコンのようなビジュアルを12個作って欲しい」って言われたらどうしますか?

 アイコンの限界は細々したデザインをしても意味がないこと。アイコンだからぱっと見で何なのかがわからないといけない。そうすると自ずとデザインできることの限界が出てきます。ジャケットのデザインではないですよね。

-- ジャケットのデザイン以外にも、ツアーパンフとかポスターとか音楽に関するデザインはあります。もし音楽のパッケージの形がCDじゃなくなっていっても、モチベーションは維持できますか?

 うーん… それはCDっていうよりも、アルバムという形がまず残るのかどうかという話になると思いますが。配信だとしても、アルバムがこの先もあるんだとしたら、何かしらビジュアル表現がないと厳しいと思います。パソコンのハードディスクに曲のデータが入っているだけだと、恐らく買う人も管理ができないでしょうから。1曲単位だったらジャケットがなくても管理できると思いますが。
 あと、人と話をしていてアーティスト名がわからない時に、ジャケットの話をすればわかる場合があるじゃないですか。そういう役割としてもジャケットのデザインは続いていくべきだと思います。

-- CDが売れなくなって、アーティストが食べていくのも難しい時代であることは確かですよね。

 まず、その原因が何だかはっきりわからないっていう問題がありますよね。いろいろと原因は言われてはいますが。でも、何でこんなに売れなくなっちゃったんだろう。

-- 厳しい状況ですが一方では、過渡期ならではといった面白い動きをしている若いアーティストも現れてきています。

 七尾君のように個人で配信サイトを運営したりとか。そういう動きはもっと増えていくと思います。今まで「何でなかったんだろう」って思っていたんですけど、話を聞くと支払いを処理できるちゃんとしたシステムを個人では持てなかったという問題があるらしくて。だからそこが整備されれば、みんな始めるんじゃないですかね。それこそ、1,000枚売れれば活動していけるくらい儲かるシステムになるんで。

-- ワンレーベル/ワンアーティストみたいな在り方ですよね。そういうD.I.Y.のやり方で、自分の責任で回していくアーティストがたくさん現れてくると思います。そこで、制約がなくなった分アーティスト魂を爆発させたような作品が生まれることもあると思います。

 はい。

-- でも、どうしても大きなレコード会社に比べるとこじんまりしてしまう面もあります。

 だんだん規模は小さくなっていくんですよね。

-- そういうメジャーのレコード会社と、独立系の個人レーベルが両立する時代になったら、木村さんは両方ともデザインをやっていくんですよね。

 もちろんやっていきますよ。それこそレディ・ガガみたいな派手な大スターもいれば、完全に個人でやっている人もいてという。ただ、1,000枚の売上げで生活できるんだとすれば、スターは生まれづらくなりますよね。マイケル・ジャクソンのような人とか。それはちょっと残念に思います。
 ジャケットにかけられる予算も少なくなっている状況ですけど、音楽では派手なことをやってるのに、ジャケットが地味だとがっかりですもんね。

-- ところで、木村さんは派手好きなんですか?

 うーん… 派手な人も好きです(笑)。